大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)について
大腸カメラは、下部消化管内視鏡検査の通称で、肛門から内視鏡を挿入し、直腸から盲腸までの大腸を検査するものです。胃カメラ同様、先端にCCDカメラやライト、水や空気を送り込むノズル、処置するための道具を通す鉗子孔などが備わった細長いチューブ(内視鏡)を使用します。大腸は曲がりくねって長いため、その奥部にまでスムーズにカメラを挿入できるよう、チューブ部分を柔らかくしたり硬くしたりと、硬度を変えられるようになっています。
健康診断では主に便潜血検査によって大腸がんの検査していますが、陽性であった場合はもちろん、陰性であっても、窪んだ形状をしている病変の場合、出血を伴わないことがありますので、陰性であった場合も、35歳以上になったら、1度、大腸カメラの検査をすることをお勧めします。
当院では、日本消化器内視鏡学会認定の消化器内視鏡専門医である院長が検査を行います。大腸カメラにおいては丁寧かつスムーズに、4~9分で最奥である回盲部に到達し、検査時間は平均で10分程度です。
検査は患者さんに苦痛と負担の少ない手技で行い、患者さんの表情を観察しながら、苦痛がないこと=腸管に負担がかかっていないこと=合併症のリスクを抑えること、を確認しながら行います。基本的にセデーション(鎮静剤)の必要はなく、比較的、楽に行え、終了後もすぐに帰宅することができます。ただし、ご希望の患者さんにはセデーションによる検査も選べます。
セデーション(鎮静剤)について
大腸カメラでも胃カメラと同様一時的に鎮静剤で眠っていただいて、その間に検査を行う、苦痛の少ない方法(セデーション)も選ぶことができます。検査による不快感が軽減されますので、より抵抗感なく検査を受けていただけます。ただし検査日当日は車やバイク、自転車の運転はできません。
こんな症状が続く時は、大腸カメラによる検査をお勧めする場合があります。
- 血便がみられている
- 便秘や下痢などの便通異常の症状がある
- 腹痛、腹部膨満感がある
- 貧血を指摘されている
- よく顔色が悪いと言われる
- 急激な体重減少があった
- 便潜血反応で「陽性」との診断を受けた
- 大腸ポリープや大腸がんを治療した経験がある など
大腸カメラでは、以下のような疾患が発見される場合があります。
- 大腸ポリープ
- 大腸がん
- 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)
- 大腸憩室症
- 虚血性腸炎 など
大腸カメラの流れ
- 検査前日まで
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- 検査予定日の3日前から繊維を多く含む食べ物(※)をなるべく避け、水分を多めにとるようにしてください。
- 便秘の方は、検査食を購入して頂く事もあります。(検査食以外の食事はとらないでください。お水、お茶などは飲んで構いません)
- 検査予約時にお渡しする下剤を就寝前に内服してください。
- アルコールはなるべく控えるようにしてください。
※)3日前からは以下のような食べ物を控えるようにください。/ネギ、トウモロコシ、タケノコ、パイナップルなどの繊維の硬いもの。シイタケ、シメジエノキ、などのキノコ類。イチゴ、トマト、ゴマ、ピーナッツなどの粒状のもの。わかめ、ヒジキ、海苔などの海藻類。ミカン、トマトの薄皮。
- 検査当日
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- 朝食はとらないでください。お水、お茶などは飲んで構いません(ただし無糖のもの)。
- 朝、下剤を飲んでいただき、その後、水またはお茶を飲んで(ただし無糖のもの)、排便し、腸内をきれいな状態にします。
- 服用している薬がある場合、医師に事前に相談してください。
検査の流れ
1. 検査衣に着替えて、検査台に横になっていただきます。セデーションを行う場合は、この段階で行います。
2. 内視鏡を肛門から挿入し、検査を開始します。検査中は体の向きを変えたり、お腹を押さえることがあります。セデーションによらない場合は、医師と会話することが可能ですので、万が一、痛みなどがあればお伝えください。
3. 内視鏡によって撮影された映像はモニタを通して医師が確認、結腸や直腸などの内腔に病変がないかを調べます。患者さんにもご覧いただけます。
4. 疑わしい組織があった場合は内視鏡で一部を採取し、顕微鏡で詳細を調べる生検を行います。
5. 大腸の内腔を一通り観察すれば、内視鏡を抜去し、検査は終了です。検査時間は、10分程度です。検査後、注意事項をお伝えします。行った処置によって内容が異なります。
セデーション(鎮静剤)による検査を受けた方は、1時間ほど院内にて休息していただきます。また車やバイク、自動車を自分で運転して帰ることは禁止です。公共交通機関か、ご家族等の送迎によりご来院ください。