予防接種(ワクチン)とは
人間には様々な感染症に対抗する手段として。「免疫システム」が備わっています。この免疫システムには、「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類あります。「自然免疫」は、侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体を体の敵として判断し、反射的にこれを排除するという仕組みです。対して「獲得免疫」は、過去に体に侵入した病原体などの情報を敵として記憶し、次の侵入に備える仕組みです。ワクチンはこのうち、「獲得免疫」の仕組みを利用し、各種感染症に対する免疫力を強化し、特定の感染症にかかりにくくしたり、重症化しにくくしたりするものです。
予防接種で使用されるワクチンには、以下のような種類があります。
- 生ワクチン
- 生きたウイルスや細菌を繰り返し培養し、病原性が弱くなったものを選んで作るもので、麻しん、風しん等のワクチンがあります。
- 不活化ワクチン
- ウイルスや細菌をホルマリン処理などによって毒性をなくしたもので、百日咳やインフルエンザ等のワクチンは、これにあたります。
- トキソイド
- 細菌が作る毒素をホルマリン処理などによって毒性をなくしたもので、ジフテリア、破傷風等の予防接種で使われています。
- ベクターワクチン
- 病原体の設計図を、別のウイルス(ベクター)に乗せて投与します。アストラゼネカ社のコロナワクチンは、これにあたります。
- mRNA(メッセンジャーRNA)ワクチン
- 病原体の設計図の一部をmRNAに乗せて投与します。ファイザー社のコロナワクチンは、これにあたります。
- DNAワクチン
- 病原体の設計図の一部をDNAに乗せて投与します。
当院では、インフルエンザや肺炎球菌、さらに新型コロナウイルスなど、各種予防接種を実施しています。予防接種は、個人においては特定の病気に罹患しにくくするとともに、その病気に罹ることで体力や免疫力が低下し、他の様々な病気の合併予防にもつながります。さらに社会的には、地域や会社、学校などのコミュニティー全体への病気の蔓延防止につながるものです。
インフルエンザワクチン
毎年、世界各地でインフルエンザの流行が見られます。北半球では1~2月ごろ、南半球では7~8月ごろがピークとなっています。日本では11月下旬~12月にかけて流行の兆しが見られ、翌年1~3月に感染者数が増加、4~5月に収束するパターンです。
インフルエンザは風邪に似た症状を呈する気道感染症ですが、38度以上の高熱がいきなり出て、のどの痛みや関節痛、見地体幹。食欲不振になるなど、風邪に比べると思い全身症状が出るのが特徴と言えるでしょう。通常、1~10日間で症状は治まりますが、高齢者の方や呼吸器疾患、循環器疾患、糖尿病などの基礎疾患がある方は、免疫力が低下等により重症化する危険性があり、最悪の場合、肺炎など他の病気を合併して死に至ることもあります。また乳幼児や小児の場合は、急性脳症などを併発する危険性もあります。
インフルエンザワクチンは、インフルエンザへの感染を予防し、重症化を防ぐことで、こうしたリスクを軽減しますので、日本における流行が本格する前、11月中旬ころまでに摂取することをお勧めします。ちなみに毎年、流行するインフルエンザの型は異なっています。その状況を見て、インフルエンザワクチンに含まれる株も毎年変更されていますので、毎年接種することが予防のためには有効です。
日本においては、インフルエンザワクチンは定期予防接種2類として、65歳以上の高齢者、もしくは60歳~65歳未満で、特定の障害がある人に対して、本人の希望により予防接種が行われ(費用の一部は本人負担)、万が一副反応が生じた場合は、予防接種法に基づいて救済が行われます。その他の年齢では任意接種となります。
肺炎球菌ワクチン
肺炎球菌は鼻やのどの奥に付きやすい細菌で、体力があり、免疫力が十分な状態では、感染症を引き起こすことはありません。ただし、風邪などで体調を崩すなど、何らかの原因で免疫力が低下していると、肺炎球菌の感染症を発症します。おもな症状は肺炎、髄膜炎、敗血症、中耳炎などがあります。
加齢とともに免疫力が落ちてくるために、高齢者では感染のリスクが高まります。また、糖尿病、心疾患、呼吸器疾患等の慢性疾患を持っている人や、病気の治療などで免疫を抑制している状態の人、脾臓を摘出している人、さらに煙草を吸っている人などが、肺炎球菌の感染症にかかりやすいと言われています。
症状の中でも肺炎は、肺炎球菌を原因とする頻度が最も高くなっています。日本人の死亡の原因で、肺炎は常に上位で入っていることを考えると、肺炎球菌への感染を予防することは、死亡のリスクを低減することにつながります。また、インフルエンザによる免疫低下を防ぐため、インフルエンザワクチンも併せて接種することが有効です。
盛岡市では高齢者の肺炎球菌予防接種に関し、一部公費負担で接種を受けることができます。対象者となるのは、これまで肺炎球菌(ニューモバックス)の予防接種を1回も受けたことがない方で、当該年度に65歳・70歳・75歳・80歳・85歳・90歳・95歳・100歳になる方、および特定の条件を満たしている方です。
新型コロナウイルスについて
当院では新型コロナウイルス感染症に関し、PCR検査、抗原検査、ワクチン接種を行っています。
PCR検査について
新型コロナウイルスの検査は、発熱や咳、味覚・嗅覚異常があり、医師によりPCR検査が必要と判断された場合に保険診療にて検査を行っています。
※近くに感染者が発生し、濃厚接触者となった方は、まずはお住いの保健所にご連絡ください。
現在、当院では、発熱がある患者さんの場合、院内感染予防のため、発熱外来として駐車場にて診療を行っています。発熱等の症状がある場合は、必ず事前連絡(019-605-5311)の上、ご来院ください。
※PCR検査は医師の判断により実施されます。検査の結果、陽性となった場合は、届出を行う必要がありますので、以降は保健所の指示に従っていただくこととなります。
※保険証をご持参ください。
抗原検査について
「抗原検査」は、PCR検査と同様、現在コロナウイルスに感染しているかどうかを調べるものです(これまでの感染歴を調べる「抗体検査」とは別のものです)。鼻咽頭ぬぐい液にて検査を行い、PCR検査よりも短時間で結果が出ますが、PCR検査と比較して感度が低いとされています。保険診療での対応が可能です。
新型コロナワクチン接種について
当院では新型コロナワクチンにつきまして、市町村から接種券(クーポン券)を配布され、未接種の方を対象に個別接種を実施します。
当院受付で、直接予約をおとりします。
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- ワクチン接種は1回目と2回目があり、原則としてセットでご予約いただきます。2回目の摂取は1回目から21日目以降となります。
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- 当日は肩を出しやすい服装でお越しください。
当日ご持参いただくもの
- ワクチン接種券(クーポン券)
- 本人確認書類(健康保険証、運転免許証、顔写真付きマイナンバーカード等のうち一つ)