胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)について
胃カメラは、上部消化管内視鏡検査の通称で、食道から胃、十二指腸までを検査するものです。先端にCCDカメラやライト、水や空気を送り込むノズル、処置するための道具を通す鉗子孔などが備わった細長いチューブ(内視鏡)を、口または鼻から挿入し、目視にて検査を行います。モニタに映し出される画像も鮮明なため、胃の粘膜などをしっかりと確認でき、小さな病変を見つける可能性も高くなるというメリットがあります。胃造影(バリウム)検査で所見が認められた場合はもちろん、健康診断として胃カメラを採用することも多くなっていますので、積極的に胃カメラの検査を行うことをお勧めします。
胃カメラの検査でのもう一つのメリットは、検査中、病変が見つかった場合、同時に組織の一部を採取することが可能で、たとえば腫瘍が良性か悪性かなど、診断の確定までの時間を短縮することができます。当院では多くの内視鏡検査の症例経験を有し、日本消化器内視鏡学会認定の消化器内視鏡専門医である医師が検査を行います。食事を摂らずにご受診された場合、当日検査を行うことも可能です(予約が入っている場合は、予約優先とさせていただきます)。
セデーション(鎮静剤)について
胃カメラというと、嘔吐反射などで、つらい、苦しいというイメージを持たれている患者さんも多いかもしれません。当院では、一時的に鎮静剤で眠っていただいて、その間に検査を行う、苦痛の少ない方法(セデーション)も選ぶことができます。嘔吐反射が強い方でも検査が受けやすくなります。胃を空気で膨らませる際の苦痛も軽減され、入念な検査も可能になります。
経鼻内視鏡について
胃カメラには口から通す経口内視鏡に加え、鼻から通す経鼻内視鏡があり、患者さんのご希望を踏まえ決定します。経鼻内視鏡は、チューブの径が経口内視鏡よりも細く、左右どちらかの鼻腔から内視鏡を挿入していくタイプです。舌の根にチューブが触れないので、嘔吐反射が起こりにくく、苦痛が軽減され、検査中でも医師と会話することも可能です。ただしチューブが細いため、経口内視鏡の機器よりも画質など若干機能が下がる場合があります。
※経鼻内視鏡とセデーションは、原則として併用しません。
こんな症状が続く時は、胃カメラによる検査をお勧めする場合があります。
- 心窩部(みぞおちや、その周辺)に痛みがある
- 胃に不快感がある
- 胸やけや喉または胸のつかえを感じる
- 吐き気・嘔吐がある
- 吐血をした
- 体重に急激な減少が見られた
- 胃潰瘍、十二指腸潰瘍を繰り返し発症している
- 健康診断などの際、バリウムによる胃の検診で異常を指摘された
※以下のような方は、症状が無くても定期的な胃カメラによる検査をお勧めします
- 家族に胃がん・食道がんになった人がいる
- 塩分を多くとる、飲酒や喫煙の習慣がある、ストレスを感じることが多い、など
胃カメラでは、以下のような疾患が発見される場合があります。
- 逆流性食道炎
- 胃炎(急性・慢性)
- 胃アニサキス症
- 胃ポリープ
- 十二指腸潰瘍
- 食道がん
- 食道ポリープ
- 胃潰瘍
- 胃がん など
胃カメラの流れ
- 検査前日
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- 前日の夕食は、なるべく早めに済ませ、アルコールもできれば控えましょう。
- 遅くとも午後9時を過ぎたら飲食、服薬をしないようにしてください。(常用している薬がある場合、事前に医師にご相談ください)
- 検査当日
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- 朝コップ1杯の水を飲んでください。降圧剤は内服してください。
- 喫煙は胃液分泌が多くなり、検査が行いにくくなるため禁止です。
- 体を締め付けない、ゆったりとした服装でご来院ください。
経口内視鏡の場合
1. 液体の麻酔を一定時間のどに貯めておく、咽頭麻酔を行います
2. マウスピースをくわえ、左側を下にしてベッドで横になります。
次に口から胃カメラを挿入し、検査を開始します。
※セデーション(鎮静剤)をご希望になる方は、予め点滴ラインを確保し、検査前に鎮静剤を注射し、鎮静剤の効果が現れた後に検査を行います。
3. 胃や食道、十二指腸の内部を観察し、必要があれば組織の採取などの処置をします。
4. 一通り観察を終えたら、胃カメラを抜去し、検査は終了。
検査時間は、処置が無ければ、5~10分程度です。
経鼻内視鏡の場合
1. 鼻の通りを確認し、挿入する方の鼻を選択、内視鏡を挿入する方の鼻の奥に麻酔薬を注入します。
2. 麻酔が効いてきたらベッドに横になり検査開始。内視鏡を挿入します。
口は自由に動かせますので、医師と会話することもできます。
3. 胃や食道、十二指腸の内部を観察し、必要があれば組織の採取などの処置をします。
4. 一通り観察を終えたら、胃カメラを抜去し、検査は終了。
検査時間は、処置が無ければ、5~10分程度です。
検査後の注意事項
- 検査後、1時間程度は飲食を控えてください。とくに経口内視鏡検査を受けた方は、咽頭麻酔が切れるまで、検査終了後1~2時間は飲食を控えてください。
- 組織検査を行った方は、お食事は2時間以上が経過してからにしてください。
- 検査後2~3日は、アルコールや香辛料などの刺激物は控え、消化の良いものを召し上がるようにしてください。
- 胃カメラ施行時に胃に空気を入れて膨らませるので、検査後はお腹が張りますが、次第に楽になりますので、心配する必要はありません。
- 経鼻内視鏡検査を受けた後は、鼻を強くかまないでください。
セデーション(鎮静剤)による検査を受けた方は、1時間ほど院内にて休息していただきます。